忘れる

低音で吠え笑う犬。道端で左後ろ足を振り上げながらこちらを睨む。しっぽがどうなっていたのかは憶えていない。無かったかもしれない。つよいコントラストの物陰で、ホルンとかそういうなまえの音が、緩やかさを強調しながら震えていた。それは犬のなまえだったかもしれない、おしっこの音だったかもしれない。何人もの犬どもが街の連結器のうえを千鳥足で通り過ぎていくのに、そいつはたった一羽の私を見ながら、わざわざ嘘を吐いたような気がした。嘘ではなく強調だったかもしれない。いろいろとよく忘れる。本当に。聞かずにそのまま飛べば良かった。
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by betorium | 2007-06-23 00:46 |
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