梅雨

いつも元気なやつと言われていても
風にも泣きたいときがあるのだろう
海にも泣きたいときがあるのだろう
それでいいじゃないかと思う
いつも冷静なやつと言われていても
星にも泣きたいときがあるのだろう
月にも泣きたいときがあるのだろう
それでいいじゃないかと思う
梅雨の時ぐらい許してやってほしい
[PR]
# by betorium | 2004-06-07 00:03 |
陽炎

田圃の泥が 粘着質の渦となって
山吹色の畑の 畝に流れた
そして澱み雲がうまれ 虹の麓を覆った
いったい 心の純白の 帆を引き下ろしたのは何なのか
いったい 心の真直ぐな 柱を折ったのは何なのか
旅行く道の先 風は地面の陽炎を
やがて巻き上げ 奪っていった
[PR]
# by betorium | 2004-06-06 00:01 |
東京の空は青い

東京の空は青い

汚いだとか
冷たいだとか
星がみえないだとか
挙げ句の果ては
嫌いだとか

それでも 僕の
東京の空は青い
[PR]
# by betorium | 2004-06-05 00:02 | 詩(読者選)

歴史の糸屑が絡み付く
地鳴りに耳を塞いでいても
赤い虹に目を覆っていても
これは僕が選んだ今だ
[PR]
# by betorium | 2004-06-04 02:06 | 詩(読者選)
切株

さようならの言葉は ただの言葉
わたしの心の深い淵で
ずっと想いは 泡立ちつづける
やがて泡は もつれ雲をつくり
暗い影を落とすだろう だから
溢れる想いは切り分けて
隣やその隣の切株に注ぐ
行き場を失った分だけ 少しづつ
迷惑かもしれないけれど 少しづつ
[PR]
# by betorium | 2004-06-03 00:03 | 詩(読者選)
来月

高野のひじり風情の 棒 棒 棒
がらりと 演説を排出
こわ飯とか苦塩 草箒が聞き返す
常闇に 夕潮が差すか 差さないのか
来月は どんなですか? とか
[PR]
# by betorium | 2004-06-02 00:01 |
仕事場でつくるバジルのペペロンチーノスパゲティ
a0018859_235945.jpgペペロンチーノは大好きなのですが、長い間自分ではうまくつくることができませんでした。ベトベトになったり味がイマイチだったり。いろいろ試行錯誤をくりかえしましたが、最近ようやくコツみたいなものがわかったような気がします。最後にパスタの茹で汁を加えること、これです。ちょっとしたヒラメキでおたまに軽く一杯ほどをかけて混ぜてみたら麺がつるつるぷるぷるになり、茹で汁の塩味がそのままうまくなじんでくれました。水っぽくなってしまいそうなかんじがしますが、なぜかそうはなりません。これって常識なのでしょうか?それとも勘違い?

現在はベーコンは無し、バジルをたくさん混ぜるだけという仕様に落ち着いてます。これもバラニラドンブリ同様、仕事場でつくるメニューのひとつです。
[PR]
# by betorium | 2004-06-01 00:00 | 色々
五月のアバラ

五月のとても明るい朝
目覚まし時計のベルの音
アバラのあたりに響くのは
あの日の呪いにちがいない

風に吹かれてささくれて
煙に巻かれて不貞腐れ
浜の小舟に八つ当たり

五月のとても静かな夜
窓から伝わる星の音
アバラの奥まで滲みるのは
泣いて笑ったキミの所為
[PR]
# by betorium | 2004-05-31 00:00 | 詩(読者選)
慰霊碑

谷川は光って遠い朝を 夕暮れは呟き霧の眠る森を
獣は気配に鉛を血でぬらして トゲが丸く繋がる風の記憶を探す
今は山頂にさえずる ただ悲しみの石の杖
雲を裂く 包丁のような こぶしのような
[PR]
# by betorium | 2004-05-30 00:01 |
(意訳)

わたしはあなたを想い あなたはわたしを想っていた
そんなふたつの幾何学の重なり合いはとても不安定で
やがて事象の地平線に崩壊してしまった
詩を意訳してできあがる解説文みたいに

(あとに残った破片にはどんな意味があるのだろうか)
(形を失ってもまだこんなにも想いは残っているというのに)
(やがて訪れる新しい風はそれをきれいに吹き飛ばしてくれるのだろうか)
(ふたりはまだこうしてここにいるというのに)
[PR]
# by betorium | 2004-05-29 00:07 |
流星群

いつもの親子が 今朝も覗き込む
街の歌声に守られたコンクリートの橋の下
子供たちを引き連れてその鳥も泳いでいた

流星群のような優しさを川面に描いて
鼠色に立ち塞がる擁壁を味方につけて
[PR]
# by betorium | 2004-05-28 00:01 |
決意

山影の袂 群青色の夕空を仰いで
長旅の疲れは浴槽の縁に掛け落とし
流れの柔らかさや石の減りを見届けてから
わたしは木偶の坊な決意と共に起ちあがる
[PR]
# by betorium | 2004-05-27 00:07 |
まっすぐにしか切れないハサミ
a0018859_0320.jpg
常にA点とB点の二点から切りはじめることになるので、どうしてもまっすぐにしか切れない、ぎざぎざのハサミ。
[PR]
# by betorium | 2004-05-26 00:04 | 色々
ぶどうづる

やわらかい はんのき やなぎ に からむ ぶどう は あま
く くま や こどもたち を なげかさない よう その ぶ
どうづる は きらない こと だ かたい いたや なら に
 からむ ぶどう は あまくない から いえ を たてる 
ため に きり おおきな たきび で あつく して やわら
かく かえ さめない うち に けた と けた を しばる
 さめれば しっかり と かたく もどり いえ を まもる
[PR]
# by betorium | 2004-05-24 00:14 |
徳利

揺れる箸立ての影に 竹串の炭を照らす裸電球の
からからとした わらい声が へばりつく
徳利の 縁からたなびく煙から 逃れるように
囲炉裡の猫は 欄間の穴から 出ていった
ここにあるのは 粘った床で
そちらにあるのは すすけた柱だ
わたしの 足も この腕も
何かのために くすんでいる
[PR]
# by betorium | 2004-05-22 00:00 |
人間

嵐の雲のその上に
凛と静かな月が浮かんでいる
やがて空は晴れ渡り
荒れた波立つ海がのこった
人間はそこにおおきなガラス板を浮かべ
正方形の凪ぎをつくって綺麗な月を映した
[PR]
# by betorium | 2004-05-21 00:00 |
仕事場でつくるバラニラドンブリ
a0018859_032.jpg味醂、醤油、日本酒、砂糖でつくった汁をフライパンに投入してから、その汁の中に豚バラ肉をつけ、その上に韮をちぎったやつをのせて蓋をし、カツ丼をつくるときみたいに蒸し焼き状態にしてからどんぶりめしに汁ごとどばっとかけて、たべます。早くできて簡単で旨いので、仕事場のミニキッチンの電熱コンロでよくつくっています。



Trackback=あなたの自慢の手料理は?
[PR]
# by betorium | 2004-05-20 00:04 | 色々
錆の音

黒の鋼は衣をまとい 錆色の夕日を映して揺れる
硬くて脆い身を守り 僕も一緒に錆びついて
わずかにはじけるちいさな音が 夢の彼方を指し示す
かすかなかけらのぬくもりが その坂道を指し示す
[PR]
# by betorium | 2004-05-19 00:01 |
つちくれを砕いて

つちくれを砕いて 遠い森に憧れて
若草はその白さを弾けさせ
土壁の橙に わずかなその影を落とした
そして青く染まった海風に
吹かれて強く その身を震わせた

竹笛のようなやさしさで
レモン色の靄に包まれて
若草は 強く
[PR]
# by betorium | 2004-05-17 00:01 |
新しい社会

あたりまえのはなしだが、そんなことは端から無理だった。
「私」は「他者」と混じり合ったり交換されたりして、
気がつけばたくさんのコピーの断片の集合体になっていた。
でも、だからって、別に不幸になったわけではないし、幸福になったわけでもない。

「私」は一体何を守ろうとしたんだっけ?
そうだ「私」だった。
でも、失敗したんだろ?
そうだ、失敗したんだ。

「私」は「社会」とも無理矢理混じり合わされたり交換されたりするべきなのだろうか。
「私」は「社会」のコピーの断片の集合体になってもかまわないのだろうか。
「私」もいつか「社会」の一員となって「他者」を殺したり蔑むようになるのだろうか。
そもそも「社会」は「他者」といえるのだろうか。

切り刻まれていくたびに残った「私」は、小さくなっていくだけだ。
だから「他者」と混じり合った分の「私」を、受け入れるしかない。
そして同時に「私」と混じりあった「他者」が生まれていたことに気付かされる。
きっとそんな積み重ねが「新しい社会」を生むのだろう。

でも「私」と「新しい社会」の境界線はどうやって引けばいいのだろう。
絶対者をどこかから担ぎ出さなければならなくなるのではないのか。
考えることをどこかでやめなければならなくなるのではないのか。
そもそもその時「私」は存在しているのだろうか。

「私」は一体何を守ろうとしたんだっけ?
そうだ「私」だった。
でも、失敗したんだろ?
そうだ、失敗したんだ。
[PR]
# by betorium | 2004-05-16 00:07 | 詩(読者選)
エチケットアンブレラ
a0018859_02434.jpg向こう側にたためば濡れた面が裏に隠れて、まわりのひとに迷惑をかけなくてすむ傘。
[PR]
# by betorium | 2004-05-15 00:25 | 色々
星空

いまだ来ぬおもいは枯れ葉の雫 山からの清水の流れ落ちる緑
群衆は怒濤で撹拌しながら 小銭に希望をぬりつけて
いまだ来ぬおもいは匂いのかけら 海も山も空さえも
無邪気な風の ただ漂う 時の軋み 
そんな霞んだ光の吹雪を やがて心に浴びながら
そんなきれいな星空を やがて流れて消えるまで
[PR]
# by betorium | 2004-05-14 00:03 |
友情
つけっぱなしのテレビが 沸き上がる不安を掻き消している
今日 僕のことが わからない と言った
弟のことも わからない と言った

ベッドの向きは窓の外が良く見えるような配置に変えてある
おばあちゃんは 瞼を引き攣らせて 過去へと還って行く
僕も弟もまだ生まれていなかった頃へ
三十分おきに「よしこ」と声を張り上げ自分の娘を呼び寄せる

さっき曾孫のりなちゃんがスプーンで無理矢理食べさせた
食べなくちゃダメよ と言った

そして新しい友情の記憶が刻み込まれて
おばあちゃんはりなちゃんを抱きしめた
[PR]
# by betorium | 2004-05-12 00:08 |
くつぞこ
しょうがっこうへの ほはばのあわない ひゃくだんの しめったのぼ
りかいだんを あのころの はんぶんの ほすうと さんばいの いき
つぎとで あえぎながら のぼった とうひょうじょの たいいくかん
のうらやまの そつぎょうきねんの ちょうぞうの むれ しかくく 
くろく きずついた いけと とりを はなすための こやのわきをぬ
けて ふたつの かみきれに つんと とがらせるように けずられた
 なつかしい えんぴつで なまえを かいた かえりの いまきたば
かりの かいだんを おおまたで かけおりた あのころより ずっと
かたい くつぞこの せいで ばたばたと はずかしく おおきな お
とを たてた ぼくは すきまを うめるために もっと かたい く
つぞこの れっしゃにのって ぷらすちっくの あんぐると きらきら
ひかる しーとを かった つつんでくれた びにーるの えんとうけ
いの うえで ひかる あまつぶが たくさんの ぼく を うつした
[PR]
# by betorium | 2004-05-11 17:59 |
振幅
弦の振幅のなかに虹があらわれることがある
円盤のすりこぎ運動のなかにむかしの景色がうつることがある
いずれにしてもぼくたちは
その振動のなかにうまれた光だ
だから手足をじたばたさせてなきさけぶ
だから安心してつよく心をふるわせればいい
[PR]
# by betorium | 2004-05-10 11:34 | 詩(作者選)